求人情報から見える昨今のIT企業の福利厚生事情とは
バブル時代のIT企業の福利厚生は豪華だったけれど
若い世代にとってバブル時代は遠い夢のような話ですが、熟練のCOBOL技術者ならばバブル時代を経験していることでしょう。バブル時代は官公庁や企業に大々的にコンピュータシステムが導入され始めた時期で、そのシステムを構成する言語の多くをCOBOLが占めていました。当然のことながら、COBOLの技術者が不足し、COBOLの技術者は引く手あまただったため、高待遇で企業に迎えられました。
そんな時代ですから、企業の福利厚生は大変豪華で充実したものでした。会社が保有するゴルフ場の会員権を利用し、リーズナブルにゴルフを楽しめたり、豪華な保養所を社員価格で利用できたり、厚生年金への加入だけではなく、企業年金までも積み立てている企業もありました。もちろん、健康保険にも加入できます。出産や慶弔に関しては、お祝い金や見舞金が支給されるなど、充実の福利厚生を謳い人材を確保していたのです。
しかし、この行き過ぎとも思えるような福利厚生の裏には、過酷な労働と引き換えという辛い現実がありました。
仕事が山積みなのに、それをさばく人手が足りない。仕事の需要に対し、不足する技術者。それでも、納品の時期が迫ってくる。過度な残業や休日出勤が当然のこととされ、月に100時間を超える時間外労働が常態化されている企業も多かったのです。
いくら充実した福利厚生があっても、利用する時間を作ることができない。バブル時代は、そんな時代でした。
現代のIT企業の福利厚生もかなり充実している
さて、では現代のIT企業の福利厚生はどのようなものなのでしょうか。
バブル経済の崩壊後、日本のIT企業は、仕事はあっても受注価格が低くなってしまい、経営も難しくなりました。その結果、経費削減のために真っ先に削られたのが、充実しすぎた福利厚生です。企業はゴルフ場の会員権を手放し、社有の豪華な保養所を閉鎖しました。もともと行き過ぎた福利厚生だったのですから、正常な状態の福利厚生に戻って行ったと言うべきでしょう。
そして、現代のIT企業では、福利厚生面がバブル時代ほど厚遇ではないといえ、他業種での過労死の問題などもあり、労働時間面での環境がバブル時代よりも改善されています。そのため、福利厚生施設を利用する時間を作ることも可能で、トータル的に見ると決して悪い環境ではありません。
現代のIT企業の正社員の福利厚生は、各種社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)が完備され、年に1度の健康診断、財形貯蓄、資格取得奨励金、提携スポーツ施設などの割引優待、社内親睦イベントなどがあります。企業によっては社員持ち株制度、社宅、あるいは住宅手当などもあり、実用的で充実した福利厚生となっています。また、持ち株制度で会社の株を保有するということは、社員の努力により会社が成長すると、株の価値も上がり、退職などで株を手放すときには、思いがけないボーナスにもなり得るでしょう。
求人情報から見える福利厚生(A社の場合)
1997年3月に設立されたA社の場合、バブル終焉期から大手証券会社の倒産などの荒波の時期を乗り越えた経営経験からか、求人に際して実に明快で充実した福利厚生が見えます。
求人情報には、各種社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)はもちろん、健康診断、財形貯蓄制度、資格取得後の御祝い金制度、提携する保養所やスポーツ施設の割引優待、社員旅行など、社員の労働意欲を刺激する充実した福利厚生制度が列挙されています。
また、産前産後休暇や育児休暇、育児のための時短制度もあり、ライフステージに合わせた勤務が可能であることも魅力的な要素です。
求人情報から見える福利厚生(B社の場合)
2016年4月設立のB社の場合、若い企業であるためか、求人情報からは充実した福利厚生が見えませんが、若い企業独特の会社と社員一丸となった成長パワーを感じることができます。
求人情報に掲載されている福利厚生は、各種社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)と社員の親睦会。しかし、こういった設立間もない企業ならば、これから入社しても創業メンバーの一員として、福利厚生面をもっと充実させ活性化することも可能なのではないでしょうか。求人情報に掲載されている福利厚生は、各種社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)と社員の親睦会。しかし、こういった設立間もない企業ならば、これから入社しても創業メンバーの一員として、福利厚生面をもっと充実させ活性化することも可能なのではないでしょうか。
COBOL技術者を募集する企業は、まだまだなくなりません。COBOLシステムは官公庁や多くの企業で基幹システムとして稼働しており、メンテナンスやリプレースに際して、COBOLの技術者がぜひとも必要とされています。現代において、COBOL技術者はとても貴重な存在なのです。ぜひ、技術を安売りせずに、しっかりした経営で、かつ福利厚生が充実した企業を活躍の場に選んでくださいね。
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